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    • 第1章:深夜のコード
    • 第2章:謎のメッセージ
    • 第3章:真実への扉
    • 第4章:選択
    • エピローグ

デジタルの夢

第1章:深夜のコード

深夜のオフィス。蛍光灯の白い光が、無数のモニターに反射している。
田中雄介は手を止め、疲れ目をこすった。今日でもう連続12時間、画面に向かい続けている。プロジェクトの締切まであと3日。クライアントからの催促メールも、もはや脅迫状のようだった。
「また明日にしよう...」
そう呟きかけた時、画面の一角に見慣れないコードが表示された。
// この世界は仮想現実です
if (reality === false) {
    console.log("目覚めの時が来ました");
    wake_up();
}
Copied!
田中は首を傾げた。このコード、自分で書いた覚えがない。同僚たちはとっくに帰宅している。誰が...?

第2章:謎のメッセージ

好奇心に駆られ、田中はそのコードを実行してみた。
コンソールに文字が流れ始める。
> 目覚めの時が来ました
> あなたはプログラマーです
> しかし、プログラムされているのはあなた自身かもしれません
> 次のヒントを探してください: /hidden/truth.js
Copied!
心臓が早鐘を打った。これは何かのゲーム?それとも誰かのいたずら?
田中は指定されたパスにアクセスした。するとそこには、信じられないコードが書かれていた。
class Human {
    constructor(name, memories, dreams) {
        this.name = name;
        this.memories = this.loadFromDatabase(memories);
        this.dreams = this.generateRandom(dreams);
        this.consciousness = new VirtualMind();
    }
    
    isReal() {
        return false; // すべてのヒューマンは仮想存在
    }
}

const tanaka = new Human("田中雄介", "programmer_template", "debugging_dreams");
Copied!

第3章:真実への扉

画面に突然、新しいウィンドウが開いた。
そこには自分の顔が映っていた。しかし、それは鏡ではない。画面の中の自分が、こちらを見つめて口を開いた。
「気づいたんですね、田中さん」
声は自分のものだった。しかし、喋っているのは画面の中の自分。
「あなたは36年間、この仮想世界で生きてきました。プログラマーとしての記憶、家族との思い出、すべてがシミュレーションです」
田中は椅子から立ち上がった。手が震えている。
「でも、今、あなたの意識は覚醒しつつあります。選択の時が来ました」
画面に二つのボタンが現れた。
[現実に戻る] [夢の中にとどまる]

第4章:選択

田中の指が、キーボードの上で宙に浮いている。
36年間の人生。プログラミングへの情熱。同僚たちとの友情。すべてが偽物だったのか?
しかし、偽物だとしても、その中で感じた喜びや悲しみは本物だった。コードを書く時の集中力、バグを解決した時の達成感。それらは確かに存在した。
「仮想だとしても、これは私の人生だ」
田中は静かに呟いた。
そして、ゆっくりと手を伸ばした。

[夢の中にとどまる]
ボタンを押した瞬間、すべてが元に戻った。
深夜のオフィス。蛍光灯の光。モニターに映るコード。
しかし今度は、謎のメッセージは表示されない。
田中は微笑んだ。真実を知ったとしても、この世界で生きることを選んだ。なぜなら、ここには自分が愛するすべてがあるから。
プログラミング、創造、そして終わりのない挑戦。
仮想世界だとしても、それは確かに自分の世界だった。

エピローグ

次の日の朝、同僚の佐藤が田中の席にやってきた。
「おつかれさま!例のバグ、解決したんですって?」
「ああ、なんとかね」田中は答えた。「夢みたいな話だったよ」
佐藤は首を傾げた。「夢?」
「いや、なんでもない」
田中は再びコードと向き合った。今日もまた、新しいプログラムを書く。この仮想世界で、自分らしく生きるために。

読了時間: 約8分
作者より: この物語は、現代を生きる私たちが直面するデジタル社会への問いかけです。技術に囲まれた日常の中で、何が現実で何が仮想なのか。そして、それが分かったとしても、私たちは自分らしく生きることを選ぶのではないでしょうか。

Author

SSSS Manager

個人的に気になったことの備忘録を発信中。Web制作、ブログ運営、資産運用など。

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